「横山幸雄 ショパンと有名作曲家を弾く」シリーズの第5夜「ショパンとリスト」を聴きに行ってきました。曲目はショパンの作品10の練習曲と、リストの超絶技巧練習曲より第1、2、4、10、12番、パガニーニ大練習曲集より第3番です。会場のルネこだいら(東京都小平市)で開催される「1hourコンサート」の中で行われるもので、全部で1時間程度のプログラムでした。
率直にいって、ショパンの練習曲は「あれっ、どうしちゃったの?」という感じでした。私は横山幸雄さんが演奏するショパンの練習曲を、ライブでもCDでも何度も聴いていますが、今回はいつになく歯切れが悪かったのです。音にまとまりがなくバラバラで、高音部がどこか上滑りしているような感じがします。素人が聴いても明らかにミスタッチとわかるような箇所もありました。
私は演奏を聴きながら、音にまとまりがない感じがするのは、会場の音響の影響ではないかと疑問を持ちました。会場は音楽専用のホールに比べると残響が抑え気味なので、シューベルトなどじっくり歌わせるような曲には適しているといえるでしょう。その反面、ショパンやリストの練習曲といった、華やかな超絶技巧系の曲では、残響が抑えられているためにかえって聴きづらくなってしまうのかもしれません。
ところがショパンの練習曲を終えた後、演奏者はこんな発言をしていました。リストの超絶技巧練習曲を演奏するには、準備がとても大変だというのです。今回の演奏は、1998年前にCDをリリースして、2011年にリストの生誕200周年にちなんで演奏して以来とのことでした。
これを聞いた瞬間、「あれっ、どうしちゃったの?」という疑問が一気に解消しました。この発言で、リストに重点を置いて今回のコンサートの準備をしていたことがわかったのです。
その後に聴いたリストの曲の演奏は、違和感や疑問がありませんでした。ショパンの練習曲よりもずっと出来が良かったように思います。むしろ気持ちよく聴くことができました。
今回のコンサートは、1時間程度と短い時間ながらも、演奏者にとってはものすごくタフで密度の濃いプログラムだったと思います。

